2024年上半期、加工・製造業は引き続きFDI（外国直接投資）を最も多く呼び込んだ産業分野であり、総投資額は約106億9000万米ドルに達し、登録FDI資本総額の70.4％を占めました。これは2023年同期比で26.3％の増加となっています。

ベトナムにおけるFDI誘致をリードする産業

2023年、ベトナムの加工・製造業は1075件の新規プロジェクトを通じて235億米ドル以上のFDIを誘致し、ベトナムにおける海外直接投資を受け入れる18の経済セクターの中、最大のFDI誘致部門となりました。

2024年上半期、加工・製造業は引き続きFDIを最も多く呼び込んだ産業分野であり、総投資額は約106億9000万米ドルに達し、登録FDI資本総額の70.4％を占めました。これは2023年同期比で26.3％の増加となっています。ベトナムの製造業は好調で、116億3,000万米ドルの貿易黒字を記録しました。輸出額は3685億米ドルを超え、前年同期比15.7％増となりました。ベトナムの主要輸出市場における貿易黒字は、米国が約472億米ドル、EUが約170億米ドル、日本が9億5200万米ドルと推計されています。.

過去10年間のベトナム加工・製造業へのFDI投資動向

2024年、ベトナムは引き続き重点産業分野において質の高いFDIプロジェクトを多数誘致しています。その代表例として、LG Innotek Hai Phong工場プロジェクトが10億米ドルの追加投資を行ったほか、Quang Ninh省のLITE-ON工場が総投資額6億9000万米ドル、Thai Binh省のGoodway Vietnam工場が総投資額4500万米ドルのプロジェクトを展開しています。

加工・製造業の企業向けの特別支援政策および制度

ベトナム、加工・製造業向けの発展政策の策定に注力

ベトナムは、重点産業発展法を通じて、機械製造、加工、電子などの産業における発展政策の研究・策定を進めており、FDI企業の加工・製造業への投資を促進することを目的としています。。さらに、工業貿易省は人材育成にも力を入れており、工業系・商業系の大学や専門学校、一部の職業訓練校の効果的な活用に重点を置いています。これにより、労働力の質を向上させ、外国投資家のニーズに応えることを目指しています。

ベトナムの加工・製造業企業に対する特別優遇措置

FDI企業向けの一般的な優遇措置:

法人所得税率: 法人税法に規定される分野に応じて10%〜17%
法人税優遇: 最初の4年間は最大で免税、その後9年間は50%の税額軽減
輸入税優遇: 固定資産形成のための輸入品、国内生産不可能な原材料・資材・部品に対する輸入税免除
加速償却:: 課税所得計算時の損金算入額の増加

重点加工製・造業向けの特別優遇措置:

加工・製造業には、機械、電子機器、繊維・皮革、機械設備製造などの分野が含まれます。ベトナムに投資するFDI企業向けの一般的な優遇措置に加え、、一部の重点加工・製造業には特別な優遇措置が設けられています。

業種	投資優遇措置
機械産業	国内未生産の機械加工設備に対し、0%の輸入関税率を適用
繊維・衣料品、皮革・履物産業	CPTPPおよびEVFTA協定に基づき、EUおよびASEAN諸国向けの輸出関税の免除または軽減政令第57/2021/ND-CP号に基づき、天然繊維、合成繊維、編み糸などの繊維産業支援製品に対する関税免除
電子産業	TPP、FTAなどの貿易協定に基づき、EU諸国およびASEAN諸国からの輸出入関税を最大100%免除または軽減
自動車製造業	タイおよびインドネシア製の完成車輸入に対し、0%の輸入関税を適用政令第125/2022/ND-CP号に基づき、韓国からの自動車部品および付属品の輸入に対する関税免除自動車取得税の50%削減、納税期限の延長など新車の自動車取得税を免除、電気自動車に対する特別消費税を15%から3%に引き下げ
医療機器製造業:	国有地賃借の場合、B類プロジェクトに最低賃借料を適用。 C類およびD類プロジェクトは、稼働開始日から土地賃借料を免除。

2024年から2030年におけるベトナムの加工・製造業の発展方針

ベトナム統計総局のデータによると、加工・製造業企業の82.9%が、2024年第3四半期の事業活動は第2四半期より好調になると予測しています。上半期の工業生産指数（IIP）は前年同期比12.6%増加と予測され、在庫指数も前年比で減少しており、製造業の力強い回復を示しています。

電子部品・コンピュータ製品製造業が顕著な回復を見せており、受注数や輸出受注数が大幅に増加しています。

ベトナムは、経済の重要な柱の一つである加工・製造業の発展を促進するため、様々な政策を策定・実施しています。具体的には、ガソリン、石油、エネルギーの国家備蓄・供給インフラの整備計画や、鉱物資源の探査・採掘・加工に関する戦略などが挙げられます。これらの施策は、原材料の安定供給と製造業の効率的な運営に不可欠な要素であり、、加工・製造業の持続可能な発展に大きく貢献しています。
さらに、ベトナムは科学技術の応用とイノベーションを推進し、循環型経済の構築に注力しています。これにより、資源の最適利用、環境負荷の低減、そしてグローバルサプライチェーンの厳格な基準への適合を目指しています。

また、ベトナムは質の高い外国投資の誘致と戦略的な協力関係の構築に注力し、投資案件の評価においては品質、効率性、技術革新、環境保護を最重要基準としています。ベトナムは先端的な製造・加工技術を有する重点産業の発展を優先し、半導体チップ製造などの高度技術産業への投資誘致に注力しています。

ベトナム、加工・製造業向けの特化した発展政策を策定

ベトナムにおけるFDI誘致をリードする産業