世界最大の半導体グループはベトナムにどれだけ投資しているのか？

ベトナムは174件の半導体FDIプロジェクトと110億米ドル以上の総投資額を有し、世界をリードする半導体グループから大きな関心を集めています。Samsung、Intel、NVIDIA、Qualcommなどはベトナムにどれだけ投資し、今後の計画は何でしょうか？

近年、ベトナムは戦略的な地理的位置、競争力のある製造コスト、投資優遇政策により、大手グループから特別な注目を集めています。2024年末までに、全国で174件の半導体分野のFDIプロジェクトが登録され、総投資額は110億米ドル以上に達しています。世界の主要半導体グループの多くがベトナムで事業を積極的に拡大しています。その中でも特に注目されているのは、NVIDIA、Samsung、Apple、Intel、Qualcomm、Lam Researchなどです。

NVIDIA：人工知能への積極的な投資

世界最大の半導体グループであるNVIDIAはベトナムへの投資で戦略的な動きを見せています。2024年12月5日、創業者のJensen Huang氏がベトナム政府と人工知能（AI）研究開発センター設立に関する協定に署名しました。それに先立ち、2024年4月にはNVIDIAはFPTと提携して2億米ドルを投じ、ベトナムにAI工場を建設しています。またNVIDIAは、VingroupからVinBrainの株式を取得することを発表し、これはベトナムでの人工知能分野における事業拡大と投資戦略の重要な一歩となりました。

Samsung：ベトナム最大のFDI投資家

Samsungは現在、2022年末までの累積投資額が200億米ドルに達し、ベトナム最大のFDI投資家となっています。2008年のBac Ninh省での携帯電話製造工場から始まり、Samsungは6つの工場と1つのR&Dセンターへと事業を拡大しました。2024年には、ベトナムにあるSamsungの4つの工場からの収入は625億米ドルに達しました。2024年5月の首相との会談で、同グループは今後の期間で毎年約10億米ドルの追加投資を計画していることを明らかにしました。Samsungの直接投資だけでなく、その存在により、多くのSamsungの第1次・第2次サプライヤーからなる巨大なエコシステムがベトナムに投資し工場を建設することにもつながっています。

ベトナムでのSamsungの第1次サプライヤーであるHAEM VINA工場。DELCOは設計・施工のゼネコンとしてHAEMと複数回協力し、ベトナムでの工場建設と工場フィットアウトプロジェクトを実施しています。

DELCOが設計・施工のゼネコンを務めたGSR VINA工場の工場・オフィスフィットアウトプロジェクト。GSR VINAはベトナムにおけるSamsungの主要サプライヤーの一つです。

Apple：ベトナムでのサプライチェーン拡充

Appleは直接チップを製造していませんが、半導体産業に強い影響力を持つチップデザインブランドです。現在、ベトナムに製造拠点を置くAppleのパートナー数は35社に達し、ベトナムは東南アジアで第1位、世界では第4位のAppleの製造拠点数を誇る国となっています。その中でも、ベトナムに設置された大規模工場は、AirPods、iPad、Apple Watchなどの主力製品の組立を担当しています。専門家の予測によると、2025年までに、ベトナムは世界のiPadとApple Watchの生産量の約20％、MacBookの生産量の5％、AirPodsの生産量の65％を供給すると予想されています。

2019年から現在まで、Appleのサプライチェーンを通じたベトナムへの総投資額は約160億米ドルに達しています。LuxshareやFoxconnなどの主要パートナーは、Nghe An省とBac Giang省に工場を建設するために数億米ドルを投資し、Appleのグローバルサプライチェーンにおいて重要な役割を果たしています。

Intel：ベトナムにおける世界最大のチップ組立センター

Intelは2006年からHo Chi Minh市ハイテクパークにあるIntel Products Vietnam工場への投資を開始し、初期投資額は10億米ドルでした。2022年末までに、同グループはさらに4億7500万米ドルを追加投資し、ベトナムへの総投資額は15億米ドル以上に達しました。現在、Intelは工場のアップグレードと新技術の導入によりベトナムへの投資を引き続き強化しています。この工場はIntelの世界最大のチップ組立・検査施設でもあります。2024年末までに、Intel Vietnamは39億個以上の製品を出荷しています。2025年4月には、この数字は40億個に達する見込みです。

Qualcomm：Ha Noi市にR&Dセンターを設立

2020年、米国の主要スマートフォンチップメーカーであるQualcommはHa Noi市に研究開発（R&D）センターを開設しました。これはQualcommの東南アジア初のR&Dセンターです。同社はまた、5Gネットワークインフラ機器の設計、開発、製造においてViettel、VNPT、Mobifoneなどのベトナムのテクノロジー企業と協力しているほか、5G技術と人工知能を応用したスマートカメラ機器のテスト支援も行っています。

Lam Research：ベトナムへの数十億米ドル規模の投資計画

米国の半導体グループLam Research（世界有数のチップ製造ツールプロバイダーの一つ）は、初期段階でベトナムに10〜20億米ドルの投資を計画しています。具体的には、第1段階で、Lam Researchは既にベトナムに投資し、Bac Ninh省とBac Giang省に工場を持つ韓国企業のSeojinと協力します。この段階では、Seojinはリモート工場システムとして機能し、Lam Researchの生産拡大と市場需要への対応を支援します。プロジェクトの第2段階では、Lam Researchは直接投資を行い、ベトナムでの事業をさらに拡大する予定です。

世界をリードする半導体グループの参入により、ベトナムの半導体産業の発展が促進されています。米国半導体工業会とBoston Consulting Groupのレポートによると、外国企業からの投資により、ベトナムは2022年にはわずか1％だったグローバルチップの組立、テスト、パッケージング能力のシェアが、2032年には8〜9％を占めると予測されています。

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