壁のひび割れはよく見られる現象ですが、設計・施工・養生を適切に行えば、制御することが可能です。
工場の壁にひび割れが発生する主な原因
工場の壁にひび割れが生じる主な原因には、以下のようなものがあります:
- 収縮および温度変化: コンクリートやモルタルは硬化過程で収縮する傾向があり、同時に環境の温度変化(高温・低温)の影響を受けます。
- 地盤沈下・構造変位: 軟弱な地盤や荷重の不均等分布により、局所的な沈下が発生し、壁にひび割れが生じやすくなります。
- 建築詳細部: 窓部、開口部、壁のコーナーなどは応力が集中しやすく、ひび割れの発生リスクが高い箇所です。
- 施工不良: 品質の悪い材料の使用、モルタルの配合比率の誤り、施工後の養生不足などはひび割れリスクを増大させます。
工場壁のひび割れ防止施工工程
収縮と温度の制御
施工段階では、収縮および温度の制御が極めて重要です。施工業者は、コンクリート混合物の安定性を高めるために収縮低減剤や高性能減水剤などの混和剤を使用すべきです。
DELCOでは、軽量ALCブロック壁を施工する際、建築モルタルに混和剤を併用することで、接着力を高め、ひび割れを防止しています。
また、組積・左官作業のタイミング選定にも慎重な検討が必要です。降雨が多い場合や湿度が高い状況では、モルタルの強度が低下します。雨の日に外壁の組積・左官を行うとモルタルが硬化する前に流され、剥離や表面品質の低下の原因となるため、厳禁です。左官後は、壁面を1~2日間湿潤養生し、急激な乾燥によるひび割れを防ぎます。
技術目地の設計と配置
工場の壁施工における重要な留意点の一つとして、長い壁には伸縮目地(エクスパンションジョイント)を設置する必要があります。これにより、応力を開放し、ひび割れの拡大を防ぎます。地盤が軟弱な箇所では、壁と壁の間に沈下継目を設けることが必要です。これにより建物ブロック間の変位を分離し、壁面への変形伝達を軽減します。窓部やドア部にも、補強鉄筋を追加配置することで応力分散を図り、応力集中によるひび割れを防止します。
補強と仕上げ
さらに、メッシュおよび繊維による補強も広く適用されています。金属細線メッシュやガラス繊維メッシュを左官モルタル層に埋め込むことで、可塑性を高め、微細なひび割れ(ヘアクラック)の発生を抑えます。継目部分では、弾性材料を使用することで、自然な収縮・膨張への追従性を確保します。また、専用塗料などの適切な仕上げソリューションを選択することも、ひび割れ抑制に重要な役割を果たします。
DELCOでは、Ha Nam省のDORCO Living Vina工場にて弾性塗料を施工し、壁面のヘアクラック防止および仕上げ層の耐久性向上を実現しています。
施工品質の管理と監督
施工管理および品質監督は、工事全体を通じて一貫して維持される必要があります。工場建設プロジェクトを展開するにあたり、投資家は経験豊富な施工業者を選定することに重点を置くべきです。基準を満たす材料を使用し、体系的な施工工程と管理を適用すべきです。これには、材料選定、設計からひび割れ防止の補強施工、仕上げ、検収に至るまでが含まれます。これにより、建物の品質および美観を確保しつつ、運用期間中の保守コストを最小限に抑えることができます。
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