工場や倉庫の湿度管理は、設備、原材料、製品をカビ、腐食、劣化から保護するための不可欠な要素です。以下は、最適な性能と投資効率を実現する業務用除湿機を選定するための4つの重要評価基準です。
必要な除湿能力はどのくらいですか?
除湿機の除湿能力は、1日あたりの除湿量を指し、通常、リットル(L/日)またはパイント(PPD)で表されます。除湿能力の選定は、施設の面積、要求される湿度レベル、換気システムによって判断します。面積が500 m²未満の倉庫や工場では、除湿能力50~150 L/日の機種が適しています。それ以上の規模(500 m²~5,000 m²以上)の施設では、効率的な湿度管理を実現するために200~1,000 L/日の除湿能力を持つ機器が必要となります。
適切な除湿能力の選定は極めて重要です。除湿能力が不足すると、湿度を適切に制御できず、製品や設備の品質に悪影響を及ぼします。一方、実際の需要に対して除湿能力が過剰な場合、電力コストの増大を招きます。
除湿機は、電子部品工場や製薬工場など、特殊環境を要する産業施設にとって必須の設備です。
湿度管理要件
業務用除湿機は主に冷却方式と吸着方式の2種類に分類されます。環境温度と要求される湿度管理条件に応じて、最適な方式を選定することができます。
冷却式除湿機とは何ですか?どのような用途に適していますか?
冷却式除湿機(Refrigerant humidifier)は、空気を冷却して水蒸気を凝縮させる仕組みで、家庭用除湿機と同様の原理で作動します。この方式は、厳格な湿度管理を必要としない一般的な倉庫や製造施設で広く採用されています。
冷却式除湿機の構造図 / 画像提供:Humiscope
吸着式除湿機(ローター式除湿機)の特長は何ですか?どのような使用環境に適していますか?
吸着式除湿機/ローター式除湿機(Desiccant Dehumidifiers)は、低温環境(<10°C)や、高精度な湿度・清浄度管理が要求される工場や倉庫向けの専門機器です。本機は、特殊吸湿材を用いて空気中の水蒸気を除去するため、低温環境下でも安定した性能を発揮し、要求仕様に応じた精密な湿度制御が可能です。主な適用環境は、クリーンルーム、電子機器製造、医薬品製造、食品保管施設など、特殊な環境制御が必要な施設です。
吸着式/ローター式除湿機の構造図 / 画像提供: Humiscope
業務用除湿機の設置方式
適切な設置工事により、業務用除湿機の運転効率を最適化し、耐用年数を延長することが可能です。以下に、設置時の重要検討事項を説明いたします。
固定式除湿機と可搬式除湿機のどちらが適切でしょうか?
適切な設置方法は、機器の運転効率の最適化と耐用年数の延長に寄与します。設置方式として、固定式と可搬式の2つの選択肢があります。
- 固定式:大規模施設、24時間連続運転、排湿ダクトシステムを備えた環境に最適です。
- 可搬式:運用の柔軟性が高く、複数エリア間での移設が可能で、小規模製造施設やレイアウト変更頻度の高い環境に適しています。
排水設備
排水設備も設置時の重要な検討事項の一つです。自然排水式の配管を使用する機種と、内蔵排水ポンプにより強制排水を行う機種があります。小規模施設では、手動排水方式も選択肢として検討可能です。
空調設備(HVAC)との連携は可能ですか?
広域での一元的な湿度管理が必要な場合、空調設備(HVAC)と連携可能な除湿機の導入を推奨いたします。このシステム構成により、安定した湿度制御と高い運転効率を実現し、省エネルギー効果も期待できます。
省エネルギー性能と制御システム
業務用除湿機は電力消費量が大きいため、機器選定時には省エネルギー要素を重視する必要があります。可変速送風機とインテリジェントセンサーを搭載した機種は、運転効率を最適化し、環境条件に応じて自動制御することで、エネルギー効率を向上させます。
さらに、最新型除湿機には自動湿度制御装置(humidistat)を標準搭載し、生産環境の湿度を安定的に制御することが可能です。また、スマートファクトリー施工およびMEPスマート施工の専門企業と協力し、除湿機をBMSやスマートファクトリーシステムと統合することで、除湿システムと空調設備を一元的に監視制御し、工場の重要生産エリアにおける温度、湿度、清浄度の高精度な環境管理を実現できます。
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