近年、ベトナムは対外直接投資(FDI)誘致促進に向けた投資環境整備を継続的に推進しております。特筆すべき進展として、国会は法律第57/2024/QH15号を制定し、特定分野における投資手続きの簡素化およびプロジェクト実施期間の短縮化を実現する重要な施策を講じております。
2025年度における特別投資手続き制度の対象となるFDIプロジェクト
法律第57/2024/QH15号は2025年1月15日より施行され、特別投資手続きは以下の2分野に該当する対外直接投資(FDI)案件に適用されます:
半導体・集積回路(IC)・フレキシブルエレクトロニクス(PE)関連分野:
– イノベーション拠点および研究開発(R&D)施設の設置に関する投資案件
– 半導体集積回路の製造、電子部品・IC・フレキシブルエレクトロニクス(PE)の設計・製造技術、半導体チップ及び半導体材料の製造に関する投資案件
先端技術分野における投資案件:
– 先端技術分野における案件のうち、首相決定に基づく先端技術製品奨励リストに該当する製品の開発・製造に関するもの。
法律第57/2024/QH15号により、半導体・電子機器分野の投資案件については、特別投資手続きの適用により、行政手続きの大幅な簡素化とプロジェクト実施期間の短縮化が図られることとなります。
特別投資手続き制度の概要
法律第57号に基づく特別投資手続の対象案件について、FDI投資家は工業団地、輸出加工区、先端技術団地等における案件に関し、新制度による投資登録を選択することができます。
投資登録書類には、ベトナム建設法及び消防法に定める条件・基準・規格への適合を証する誓約書を含める必要があります。さらに、投資案件の提案書には環境影響の特定・予測及び環境負荷低減策を記載することで、環境影響予備評価に代えることができます。
申請書類の提出先
投資登録書類は、工業団地・輸出加工区・先端技術団地・経済特区の管理委員会へ提出します。
審査期間
審査期間は申請受理後15営業日以内です。
ベトナム商工会議所(VCCI)の評価によれば、特別投資手続は従来の投資手続と異なり、各種許認可の大幅な削減及び「事前審査」から「事後審査」への転換により、案件実施までの所要期間を大幅に短縮するものです。これにより、特に先端技術分野からの投資誘致が期待されています。さらに、VCCIは特別投資手続について、準備段階から運営段階に至るまでの各段階における詳細な実施手順の策定を提言しています。これには免除対象となる手続及び必要な手続を明確化し、投資家の利便性確保と行政機関の監督体制構築の双方に資するものとしています。
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