従来セメントの耐久性と独特な発光効果を組み合わせた発光セメントは、持続可能で省エネルギーな建築を実現する新しいグリーン素材ソリューションとして期待されています。
発光セメントとは?
発光セメント(Light Generating Cement)は、夜間に自己発光する能力を持ち、約12時間にわたって発光効果を維持するセメントです。この素材は、セメント混合物に4~5%の光ファイバーを混入することで、水色または緑色の光を発するように製造されています。
光源と接触後、暗闇の中で発光する発光セメントブロック
発光セメントの製造技術はどのようなものか?
発光セメントの主要成分は、砂、シリカ、産業廃棄物、アルカリ、および水で構成されています。この混合物は室温でポリ縮合(polycondensation)法により処理されます。この過程で、セメントの光学特性を変化させるための添加剤が追加され、ガラス様の非結晶構造の微細構造が形成され、光の透過が可能になります。製造工程では、ゲル状の混合物と少量の結晶片が生成され、副産物として水蒸気のみが排出されます。
このタイプのセメントは、曇天の日でも光を吸収することができ、夜間に12時間連続で発光し続けます。さらに、発光セメントは従来セメントと同様の機械的特性を保持しており、塗装や表面仕上げなど多くの用途に使用することができます。
発光セメントの優れた特長
- 省エネルギー:発光表面により、屋外空間における電気照明の需要を大幅に削減できます。
- 高耐久性:優れた耐熱性を持ち、寿命は最大100年に達することができ、樹脂系発光素材より大幅に優れています。
- 環境親和性:製造工程で産業廃棄物を原料として活用し、ポリ縮合法はほとんど排出物がなく、唯一の副産物は水蒸気のみです。
- 柔軟な美観性:優しい緑色または青色の光により、独特な装飾効果と空間のアクセントを演出します。眩しさを避けるため、色彩と明度の調整も可能です。
建築・建設分野における発光セメントの応用
発光セメントの最も注目される用途は、高速道路、一般道路、歩道、自転車専用レーンなどの施工において、より安全で活気のある通路を作り出し、電気照明システムへの依存を軽減できる点です。
オランダのファン・ゴッホ通りでは発光セメントが使用されています。
インテリア分野においても、発光セメントは美的価値とユーザー体験の向上に寄与する素材として利用することができます。この素材は高層建築物内の浴室やトイレの建設に試験的に使用され、かなり良好な結果をもたらしています。
発光セメントは、廊下建築やファサードなどにも応用することができます。
さらに、カビ、酵母、微生物の繁殖を阻止する能力を持つゲル状構造により、発光セメントは食品・飲料(F&B)業界などの厳格な衛生基準が要求される産業生産エリアの施工においても応用の可能性を秘めています。
ベトナムにおける発光セメントの潜在力
自然発光、省エネルギー、環境親和性という能力を持つ発光セメントは、将来のベトナム建築工事において有望な素材として評価されています。しかし、この素材がより普及するためには、以下のような課題を克服する必要があります:
- 高い製造コスト:新しい製造技術と光ファイバーや光学添加剤などの特殊原料により、発光セメントの価格は一般セメントよりも高く、60~80米ドル/m²に達します。
- 市場の準備不足:ベトナム市場では依然として従来の建設材料と合理的なコストが優先されており、発光セメントなどの新製品は長期効果を実証し、広く受け入れられるためにさらなる時間を要します。
それでも、ベトナムがグリーン建築と省エネルギー建築の発展を推進している状況において、発光セメントは重要な素材ソリューションの一つになることが期待されています。
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