2025年は工場施設フィットアウト分野において、供給量の増加、賃貸料金の調整、特定製造業における投資手続きの簡素化など、さまざまな大きな変化が予測されています。

賃貸工場施設の供給増加

賃貸工場施設は、消防安全基準、都市計画、法的要件などの各種基準を満たしており、企業の許認可手続きの時間短縮とインフラ整備費用の削減に貢献するため、投資家からの注目度が増しています。

2024年から2025年にかけて、市場の需要に対応するため、賃貸工場・倉庫の供給は今後も継続的に大幅な増加が見込まれております。サヴィルズ社の報告によると、2024年末時点での全国の既存レンタル工場・倉庫の総供給面積は1,510万平方メートルに達し、前年同期比31パーセント増となっております。南部地域における総面積は1,060万平方メートルで、建設済み工場が49パーセント、建設済み倉庫が51パーセントを占めております。一方、北部地域の総供給面積は450万平方メートルで全国供給量の30パーセントを占め、建設済み工場が61パーセント、建設済み倉庫が39パーセントという割合となっております。

賃貸工場施設供給の増加により、投資家は立地、面積、生産施設レイアウトについてより幅広い選択肢を得られ、賃貸コストと施設フィットアウト計画の最適化も可能となります。

賃貸工場施設の料金は2～4パーセントの微増

多様な供給状況により、ベトナムの賃貸工場施設の料金はほぼ横ばいまたは微増にとどまる見込みとなっております。CBREグループの予測によると、2025年から2027年にかけて、北部地域の賃貸工場施設の料金は0～4パーセント、南部地域は2～4パーセントの上昇が見込まれております。

また2025年には、不動産所有者各社がプレミアム品質の賃貸工場・倉庫やエコインダストリアルパーク内の施設の整備を引き続き進めていく予定です。これらの施設はLEED認証（ゴールド、シルバー等）などの国際基準を満たし、高水準なサービスを確約することで、長期的な持続可能性を重視する真摯な投資家のニーズに応えております。

先端技術・半導体関連企業向け投資手続きの効率化

2025年より、ベトナム政府は法令第57/2024/QH15号に基づく特別投資促進手続きを正式に施行し、先端技術・半導体関連企業向けの投資手続きの効率化・合理化を推進してまいります。関連法令や施行細則はまだ整備中ではございますが、この特別投資促進手続きにより、消防安全認証や環境許可などの取得に要する期間とコストが最大9カ月間短縮され、先端技術企業の施設フィットアウトや建設、投資プロジェクトの推進が促進され、ベトナムでの生産・事業展開が一層迅速に進められることが期待されております。

スマート設備システム（MEP）と環境配慮型開発

施設フィットアウトにおけるスマート設備システム（MEP：機械・電気・配管）の統合が普及しつつあり、IoT (Internet of Things)ソリューション、AI（人工知能）技術、スマートファクトリー、自動化システムなどの先進的技術の活用により、運用コストの最適化と生産性の向上が実現されております。

また、企業は温室効果ガスの排出削減、排水の適正管理、資源の有効活用に関する新たな環境基準に適合する環境配慮型MEPシステムへの関心を一層高めております。数多くの新設施設が太陽光発電システム、水資源循環システム、環境負荷低減型建材などのサステナブルなエネルギーソリューションを積極的に導入し始めております。これらの環境配慮への取り組みは、ベトナムの厳格な環境保護基準および温室効果ガス削減規制への対応だけでなく、企業ブランド価値の向上とサステナビリティを重視するパートナーの獲得にも大きく寄与しております。

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