2025年1月1日付にて、ベトナム国内の主要セメントメーカー各社が販売価格の改定を実施し、1トンあたり平均5万ドン(前年末比4.1%増)の価格改定を行うことを発表いたしました。
主要セメントメーカー各社による価格改定の概要
具体的な改定内容といたしまして、Vicem Bim Son製造所、Vicem Hoang Mai製造所、Tan Thang製造所などの各メーカーが、2025年1月1日より包装セメント並びにバルクセメントの全製品について1トンあたり5万ドンの価格改定を実施する運びとなりました。また、The Vissaiグループに関しましては、Vissai Ninh Binh、Vissai Ha Nam、Dong Banh Cement、Song Lam Cement並びにSong Lam 2の各生産拠点について、1トンあたり4万6,300ドンの価格改定を決定いたしました。
当該価格改定の主たる要因といたしましては、原料炭、電力、労務費を含むセメント製造における製造原価が継続的な上昇傾向にあり、2025年度もこの傾向が続くものと予測されております。特に注目すべき点として、2024年10月11日付にて商工省による小売電力料金の平均4.8%引き上げが実施され、セメント産業をはじめとする電力多消費型製造業に多大な影響を及ぼしている状況でございます。これらの状況は、2025年のセメント価格における更なる上昇圧力の主要因となっており、製造事業者並びに最終需要家双方に多大な影響を与えております。
加えまして、不動産市況の低迷とセメント供給能力の過剰状態により、多くのメーカーが販売不振に陥り、経営損失の計上や生産調整の実施を余儀なくされている状況にございます。建設省発表の報告書によりますと、2024年度においてベトナムセメント総公社(Vicem)は1兆4,020億ドンの経常損失を計上する見込みとなっております。
建設業界における経営環境の悪化
電力料金の上昇並びに不動産市況の低迷という厳しい経営環境の下、セメントのみならず、鉄鋼製品、建築用煉瓦などの基礎建設資材全般において、製造各社が収益悪化に直面し、価格改定の実施を検討せざるを得ない状況に至っております。建設資材費は工事原価の約65~70%を占めることから、資材価格の上昇は施工事業者各社、とりわけ、総価一括請負契約を締結済みの事業者に多大な収益圧迫要因として作用いたしております。損失リスクの低減策として、多くの施工事業者が建設資材価格の沈静化を見据えた工期調整を検討している状況にございます。しかしながら、かかる対応はプロジェクトの竣工遅延を惹起する恐れが高く、また、一部事業者による使用資材の削減という対応も建造物の品質保証並びに構造安全性に重大な影響を及ぼす可能性が懸念されております。
セメント製品と併せて、鉄鋼製品、建築用煉瓦などの主要建設資材においても、2025年度中の価格改定が想定される状況にございます。
施工事業者のみならず、建設資材価格の上昇は事業主体においても経営上の重要課題となっております。特筆すべきは、不動産市況の回復基調が緩慢な現況下において、建設資材価格の上昇は更なる資金負担をもたらし、新規事業計画の投資判断に影響を及ぼすことが予測されております。
出典:投資新聞社
もっと見る: 工場建設費用に直接影響を及ぼす要因
もっと見る: 工場建設費に関する用語 – 第1部: BOQとBOMの違い