2023年のベトナム経済は、サービス、貿易、観光分野を中心に、最初の3四半期のGDP成長率が4.24％に達し、多くの変動が見込まれる。経済は2023年第4四半期も回復を続け、2023年のGDP成長率は4.7％に達すると予測されている。

2023年のベトナム経済状況

GDP成長率の指標

2023年の最初の3四半期で、ベトナムのGDP成長率は4.24%に達し、再び上昇傾向にある。これは、世界経済における多くの困難を考えると、比較的明るい兆しである。

成長は主にサービス、貿易、観光産業に集中し、前年同期比6.32%増加した。建設業界は世界の総需要の減少により多くの困難に直面し、増加率はわずか1.65%で、2011年から2023年の期間で最も低成長となっている。

世界経済が多くの困難に直面している状況の中に、G7とEU諸国はいずれもマイナス成長率かゼロに近い成長率を持っているが、それでもベトナムへのFDI資本は257億6,000万ドル以上に達し、同時期に14.7%増加している。これは、ベトナム経済が依然として外国人投資家を惹きつける魅力的な目的地であることを示している。

2023 年のベトナム経済に影響を与える要因

世界経済危機前には、ベトナム経済が、2023年のベトナム経済成長の傾向を変える国内外の影響要因による多くの変動を避けることはできない。

米国、中国、欧州諸国などの主要パートナー経済の衰退は、ベトナムの輸出入の両方の減少につながっている。 2023年最初の9か月で、ベトナムの輸出総額は12%減少し、そのうちに米国への輸出総額は15.8%減少し、EU諸国への輸出総額は8.9%減少した。輸入総額も前年同期比17.9％大幅に減少した。

(出典: 総合統計局)

さらに、CPIなどの指標は3.16%上昇し、特に教育、住宅、建設資材の分野でそれぞれ8%、7%と大幅に上昇した。コアインフレ率は非常に高く、現在までに2022年の同時期と比べて4.49％上昇している。

インフレの上昇により銀行は何度も金利の大幅な引き上げを余儀なくされ、ウクライナとロシアの長期にわたる紛争によりサプライチェーンが寸断され、世界経済は衰退して危機に陥った。さらに、内需の低迷も経済の低成長に繋がっている。

東南アジア諸国および世界の他の国々とのベトナム経済の関係

現在、世界経済は困難に直面している。 EU諸国や英国など一部の大国はマイナス成長となり、典型的には日本がマイナス成長率0.6%、G7諸国はほぼゼロ成長となっている。現在の成長率を見ると、ベトナムは依然として東南アジア地域や世界の他の国々と比較して比較的高い成長率を持ってる国の一つであることが分かる。

2023年第3四半期のベトナムとその他諸国のGDP成長率

国名	ベトナム	中国	タイ	日本	韓国	アメリカ
GDP	5,33%	5,2%	3,5%	-2,1%	1,4%	5,2%

現在の世界的な経済状況で、世界の経済機関は世界経済全体、特にアジア太平洋地域の経済成長の成長に対する期待を引き下げた。具体的には、OECDはマレーシア3.9%、シンガポールは1.4%、タイは2.8%などの一部の国の2023年の成長率の予測を調整した。その一方、ベトナムの2023年のGDP成長率は4.9%に達すると予測され、他の国と比べてかなり高い。

今は世界経済全体にとって困難な時期であることが思われている。国家間の紛争や戦争により大国間の貿易関係が分断され、米国と欧州の高インフレが為替レートに影響を与えたため、経済の回復は予想よりも遅かった。これはベトナムの輸出品の競争力にも悪影響を及ぼし、経済の低成長を引き起こす。

2023年のベトナムのGDPの予測

世界経済の低成長の状況の中に、ベトナムの経済動向は依然としてかなり高いGDP成長率を維持し、前向きな変化が見られる。 IMFや世界銀行などの多くの経済機関は、ベトナムの成長率が2023年に4.7%、2024年から2025年には5～6%に達すると予測している。その一方、世界の成長率は3%だと期待されている。このように、投資誘致と貿易促進ための適切な調整と政策のおかげで、ベトナム経済は依然として多くの国際機関や投資家から高く評価されている。

ベトナム政府は付加価値税（VAT）を10％から8％に引き下げるなど、国内消費を刺激する政策を推進している。開放政策と効果的な観光刺激により、ベトナムへの訪問者数はパンデミック前と比べて大幅に回復した。
ベトナムにおけるFDI誘致は引き続き安定し、再び大幅に増加する傾向にある。米国や欧州諸国などの大国に対する投資促進政策や投資優遇措置が推進されている。ベトナムは、動向や大規模投資家の関心に応じて、グリーン経済開発、循環経済、持続可能な開発を促進する政策に重点を置いている。
また、ベトナムは豊富な労働力を持ち、欧州諸国に比べて基本賃金は依然として低い。技術移転への投資を奨励する政策や投資優遇措置も、海外投資家を強く惹きつける要因となっている。