鋼構造工場(プレハブ工場とも呼ばれる)は、施工期間の短縮、設計および生産レイアウトの柔軟性、荷重要件への優れた対応などのメリットから、多くの投資家に選ばれている一般的な建設ソリューションです。
鋼構造工場とは?
鋼構造工場とは、柱、梁、母屋、鋼製トラスなどの主要な骨組みに鋼材を使用する建物であり、ボルトや溶接による接合部材で構成される工場です。一体式の鉄筋コンクリート構造とは異なり、鋼構造は工場で製作された後、建設現場へ運搬・組み立てされるため、施工時間を大幅に短縮できます。
設計・施工のゼネコンDELCOが担当するDORCO Living Vina商業印刷工場における鋼構造の組み立て現場。
鋼構造の主要なメリット
施工期間の短縮
鋼構造工場の最大のメリットは、鋼製部材があらかじめ工場で製作・加工され、その後現場に運搬されて組み立てられるため、建設工期を最大30%短縮できることです。そのため、緊急に生産を開始する必要があり、迅速な稼働開始が求められるプロジェクトに最適です。
大スパン・広い空間の実現
鋼構造工場は、中間柱を多く配置することなく最大90mのスパンを実現でき、これにより広々とした開放的な空間を作り出せます。これにより、連続的な生産ラインの配置が可能となり、フォークリフト、コンベアベルト、および工場内の大型設備の運用に適した環境を実現できます。
DELCOが設計・施工のゼネコンとして手がけた2階建て鋼構造工場「GSバッテリーBinh Duong省工場」内の広々とした空間。
基礎コストの削減
鋼材は従来の鉄筋コンクリートより軽量であるため、基礎に伝わる荷重も小さくなります。これにより、鋼構造工場の基礎設計が簡略化され、基礎工事のコストと地盤処理の時間が削減されます。
柔軟な設計による荷重要件への対応
鋼構造では組立鋼材を使用することが多く、荷重に応じて高さや厚さを変化させた断面を持つ柱、梁、トラスなどの部材を製作できます。これにより、工場は柔軟に設計でき、各工場や各業種の荷重要件および規模に適切に対応できます。
容易な拡張性
鋼構造工場は、解体・組立が可能で、既存の構造に影響を与えることなく、迅速に拡張・改修することができます。これは、段階的な生産拡張を計画している投資家にとって大きなメリットです。
デメリットと対策
耐火性の問題
最も明確なデメリットは耐火性が限定的であることです。周囲温度が550℃を超えると、鋼材は徐々に耐力を失い、変形しやすくなり、構造崩壊のリスクにつながります。対策として、請負業者は通常、耐火塗料の塗布または吹付けを適用し、構造に2〜3時間の耐火性能を持たせます。
DELCOが設計・施工のゼネコンとして手がけたPower Plus Technology工場の完成した工場では、耐火塗装が施された鋼構造フレームが採用されています。
耐食性の問題
鋼材は湿気、化学薬品、または塩分を含む環境下で腐食しやすく、工事の耐用年数に影響を与えます。この問題の解決策は、防錆塗料を複数層塗布し、適切な保守・メンテナンス計画を維持することです。工場の運用コストが増加しますが、鋼構造の定期的な検査と塗装により、工事の耐用年数を40〜50年まで延ばすことができます。
床の安定性の問題
鋼構造工場は、一体式コンクリート床と比べて安定性が劣り、振動や揺れが発生しやすいです。したがって、鋼構造工場は精密機械や微細電子など、絶対的な防振が求められる産業には適していません。
複雑な施工技術
鋼構造工場の床は通常、水平方向に安定した床剛性を確保するため合成デッキプレートを使用するか、工期短縮のため蒸気養生コンクリート床を使用します。これら2種類の床の施工には、溶接やボルト接合を正確に行える高度な技能を持つ作業員が必要です。また、鋼構造とレンガ壁・コンクリートなどの伝統的な建材との接合時に、適切に管理されていない場合、接合部で漏水やひび割れが発生しやすくなります。
DELCOがNguyen Quocグループのオフィスビルプロジェクトでデッキ床を施工しています。
品質を確保しリスクを最小限に抑えるため、投資家は鋼構造の施工および検査基準に準拠した施工プロセスを持つ信頼性の高い請負業者を選定すべきです。さらに、専門的な監理コンサルタントを起用することで、溶接部の超音波検査やボルトの締付け力の検証など重要な項目の検査が実施でき、工事が技術的要件および最高の安全基準を満たすことを保証できます。
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