2024年1月から7月にかけて、ベトナムにおけるFDI投資プロジェクトは1,816件を記録し、前年同期比11.6%の増加となりました。中国が540件のプロジェクトを占め、FDI全体の29.7%を占める最大の投資国となっています。
2024年のベトナムへのFDI流入額、400億米ドルに到達の見込み
2024年1月から7月にかけて、ベトナムへのFDI投資額は180億米ドルを超え、前年同期比10.9%の増加となりました。また、FDI投資プロジェクト件数も大幅に増加し、1,816件を記録。2023年同期比で11.6%の伸びを示しました。シンガポールは約65億2千万米ドルで総投資額の首位を占め、次いで香港が21億9千万米ドル以上、そして日本、中国、韓国が続いています。しかし、新規投資プロジェクト件数で見ると、中国が540件でトップとなり、ベトナムにおけるFDI投資プロジェクト全体の29.7%を占めています。
さらに、ベトナムは現在、世界でFDI資本を最も魅力的に引き付ける国のランキングで60カ国中25位に位置しています。消費者物価指数（CPI）を4%に抑え、コアインフレ率も2%強に留めるなど、安定した経済を維持しています。このような安定した経済環境が、安全で魅力的な投資環境を生み出し、ベトナムを多くの大手投資家から信頼される投資先としています。年初から7月までの好調な指標を受け、計画投資省は2024年通年のFDI誘致額が390億～400億米ドルに達すると予測しています。その内訳として、FDI資本の約80%が工業生産や再生可能エネルギーなどの重点分野に投資される見込みです。
Tran Quoc Phuong氏 – 計画投資省副大臣
2024年のベトナムにおける注目のFDI投資プロジェクト
バイオ由来1,4-ブタンジオール（Bio-BDO）製造プラント建設プロジェクト
Hyosung Dong Nai Co., Ltd.が手掛けるBio-BDO製造プラントプロジェクトは、Phu My II工業団地に建設されます。敷地面積は約25ヘクタール、総投資額は7億3,000万米ドルに上ります。本プラントでは、年間最大22万トンのバイオ由来1,4-ブタンジオール（Bio-BDO）を生産する予定で、2026年の操業開始を目指しています。本プラントは、ベトナムとアジアで初めて、石炭などの従来の原料を完全に代替する新技術を用いて、粗糖からバイオ繊維を製造する施設となります。Bio-BDOプロジェクトに加え、HyosungはBa Ria – Vung Tau省においても積極的に投資を行っています。Hyosung Vina Chemical工場に13億米ドル、カーボンファイバー工場に約5億米ドルを投じる計画です。
Bio-BDO製造プラント Dong Nai
Foxconn – Singaporeにおける工場
2024年7月3日、Foxconnグループは、Quang Ninh省からスマートエンターテインメント製品とスマートシステムデバイスの2つの製造プロジェクトに対し、総額5億5,100万米ドルの投資ライセンスを正式に取得しました。このうち、スマートエンターテインメント製品の製造プロジェクトは、Song Khoai工業団地（Amata）に建設されます。敷地面積は21.5ヘクタール、総投資額は2億6,370万米ドルとなっています。本工場では、日本の任天堂社製ゲーム機「Nintendo Switch」を製造します。コントローラー、充電ドック、ストラップなどの部品を含め、年間418万台の生産能力を有しています。
一方、スマートシステムデバイスの製造プロジェクトは、2億8,720万米ドルを投じてBac Tien Phong工業団地（Deep C）に建設されます。敷地面積は12.4ヘクタール、年間878万台の生産能力を有する予定です。この2つのプロジェクトにより、FoxconnのQuang Ninh省における工場建設への総投資額は10億米ドルに迫り、同社の成長戦略における同省の重要性を裏付けています。
Foxconn工場プロジェクトが進行中のQuang Ninh省 Quang Yen Song Khoai工業団地
Trina Solar Cell Vietnam Co., Ltd.の投資プロジェクト
2024年、Thai Nguyen省は多数の大型外資投資プロジェクトを誘致しました。中でも注目すべきは、中国の太陽光パネル大手、Trina Solar Groupによる、Trina Solar Cell Vietnam Co., Ltd.の投資プロジェクトです。本プロジェクトは、Pho Yen市のYen Binh工業団地に建設され、総投資額は約11,067億ドン（約4億5,400万米ドル）に上ります。本プロジェクトは大規模な生産能力を有しており、年間11,570トンの単結晶シリコンロッド、5億5,500万枚の単結晶シリコンウェーハ、5億6,000万枚の太陽光パネルを製造する予定です。これはTrina Solar CellがThai Nguyen省に建設した3つ目の工場プロジェクトであり、同社の同省への総投資額は9億3,200万米ドルに達します。
Gokin Solar Hai Ha Vietnam社の投資プロジェクト
香港・中国のGokin Solar社が手掛ける、単結晶シリコンウェーハと太陽光発電用単結晶シリコンロッドの製造プロジェクトが、Quang Ninh省のTexhong Hai Ha工業団地で進行中です。本プロジェクトの総投資額は2億7,500万米ドルに上り、年間の設計生産能力は約14億個に達します。工場は2025年10月にインフラ整備を完了し、稼働を開始する見込みです。
Electronic Tripod社の工場建設プロジェクト
2024年3月、Ba Ria – Vung Tau省は、台湾のElectronic Tripod社による工場建設プロジェクトに対し、総投資額2億5,000万米ドルの投資認可証を交付しました。本プロジェクトは、Ba Ria – Vung Tau省のChau Duc工業団地に建設され、敷地面積は18ヘクタール超。同工業団地内で最大規模の投資プロジェクトとなります。Electronic Tripod社の工場は、電子回路および回路基板の製造に特化し、全2フェーズで年間1,800トンの生産能力を有する予定です。プロジェクトの第1フェーズは2026年第3四半期に、第2フェーズは2029年第4四半期に稼働開始の見込みです。雇用創出規模は約1,700人に上ると予想されています。
Pandora Production Vietnam社の工場建設プロジェクト
デンマーク発の世界最大手ジュエリーブランド「Pandora」は、タイ国外への事業展開を決定。新たな生産拠点として、ベトナムを選定しました。2024年5月、PandoraはBinh Duong省のVSIP 3工業団地において、「Pandora Production Vietnam」と名付けられた工場の建設に正式に着工しました。総投資額は1億5,000万米ドル超（約3,800億ドン）に上ります。本工場は、Pandoraにとってタイ国外で建設される初の工場であり、同社グループにおける3番目の生産拠点となります。工場の稼働開始は2026年初頭を予定しており、年間6,000万点のジュエリー製造能力を有します。これにより、Pandoraのグローバル生産能力は約50%向上し、同社グループの成長戦略における大きな前進を印象付けるものとなります。
Pandora Production Vietnam工場では、100%再生可能エネルギーを使用する計画です。写真は、タイにあるPandoraの太陽光発電を導入した工場の様子です。
もっと見る: 2024年土地法の改正点 – FDI投資家への直接的な影響
もっと見る: ベトナムにおける外国直接投資（FDI）企業向け最新税制優遇措置まとめ
